TサインとDサインは原因が違う
こんにちは!
理学療法士の笹川です。
腰痛や膝関節痛などで必ず歩行分析する
際にみるのが、股関節の動きです。
体重を片足に乗せた際に
股関節が外転するのか、
内転していくのかによって
運動戦略の違いが現れます。
この股関節の運動戦略を
トレンデレンブルク徴候と言ったり、
デュシャンヌ徴候と言ったりするわけです。
(※画像はネットから拝借しています)
あなたは臨床上頻繁に起こっている
二つの減少の違いを理解していますか??
この二つの違いは
教科書的には二つとも
「中殿筋などの股関節外転筋筋力低下による」
と言われています。
しかし中殿筋の
筋力低下は生じるのですが、
根本的には全く違います。
これを知っている施術家はほとんどいません。
そして、根本的にこの現象が起こる
原因が違うので当然ですが、
施術方法も変わっていきます。
ということで、今回は
トレンデレンブルク徴候と
デュシャンヌ徴候の違いを
お話ししたいと思います。
膝関節痛や腰痛が生じる人は
ほぼ100%に近い割合で
殿筋の筋力低下が生じています。
若くてもです。
必ず左右差があったりします。
殿筋の筋力低下が生じる理由として
二つあるのですが・・・
・ 腸腰筋が働かず股関節の固定性が
低下する
・ 多裂筋が働かず骨盤の固定性が
低下する
この二つの理由で殿筋の筋力低下が
強く生じてしまいます。
ヒールコンタクトのような踵を接地する
時期は大殿筋が大事と言われていますが、
大殿筋だけ働いても体幹が後方へ残るだけで
ヒールコンタクトから立脚中期へ
移行することができません。
これは回復期リハビリでの脳卒中の
歩行時にかなり多くみられる現象です。
そのような場合、腸腰筋の筋力が改善する
とともに、この現象は軽減していきます。
また腰痛患者や膝の痛みを訴える患者では
腸腰筋の筋力低下が生じると・・・
膝関節をロッキング様に歩いたり、
股関節を外転位で荷重させたりと
股関節の屈筋をはたらかせないような
反応が見られます。
実際には股関節の屈筋の代償として
大腿筋膜張筋が働いてくるのですが、
大腿骨頸部骨折患者や腰痛患者でも
大腿筋膜張筋に圧痛を訴える人が多いです。
本来なら荷重時に腸腰筋で固定するのを
大腿筋膜張筋で補っているため、
股関節外転位で屈筋を働かせる
反応が見られるのが、
デュシャンヌ徴候の本当の理由です。
なので体幹部が左右に大きく揺れる
ような歩行をしている患者さんに
単に殿筋をトレーニングするのではなく、
腸腰筋を鍛えてあげると一気に動作が改善します。
左右の重心移動は一気に軽減されるのです。
このように姿勢、歩行は患者さん特有の
体の使い方によって決められるものであり、
殿筋の筋力低下と単に言ってもこれだけの
違いがあります。
本日も長くなったので、またの機会に
トレンデレンブルク徴候と多裂筋の
お話しをしていきたいと思います。
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