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膝周囲の過緊張と筋力低下の方程式

2024年7月30日 magazine
執筆者:笹川大瑛

こんにちは!

理学療法士の笹川です。




これまでのメルマガでは
変形性膝関節症の
膝の痛みに対してどのように
歩行分析をしていくのか、

そして筋力低下(サボリ筋)が
根源に痛みの原因があるため、
筋力を改善しないことには
痛みを取れない

とお話しをしてきました。

痛みの原因を調べるには
「病態評価」という
どこが、どうなって痛いのか??
というものと、
なぜ異常動作が行われるのか
「機能評価」を分けて
考える必要があります。

このセグメントでは
“なぜ異常動作が行われるのか”
という機能評価について解説します。

変形性膝関節症患者には
ほとんど2パターンの
機能低下があります。

その2パターンを理解すれば、
基本的には行うべき施術は
3~4つくらいで
十分痛みが取れてしまいます。

中にはこのパターンが
混合している場合もあるので、

「あれっ、思ったように痛みが取れないなぁ」

と感じた時は、
違うパターンの施術を行えば
よいと考えてください。

そのパターンの解説をします。

1: 腰椎伸展型の変形性膝関節症
2: 腰椎後弯・フラット型の変形性膝関節症

この二つに分けてあるのは、

骨盤アライメントによって
みられる歩行の特徴、
制限される可動域、
筋力低下を起こす筋群が分けられます。

しかし

先ほどもお話ししたように…
70、80歳を超える高齢者では
症状が重なっていることも多く、
このパターンが
同時にみられることもあるのです。

ここからそのパターンの
機能障害について
お話ししていきます。

1:腰椎伸展型の変形性膝関節症の特徴

■ 筋力低下を起こす筋(サボリ筋)
 = 腸腰筋、内側ハムストリングス、(中殿筋)

■ 過緊張を起こす筋 (ガンバリ筋)
= 梨状筋、腰方形筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋

腰椎伸展位にある
変形性膝関節症の
患者さんの特徴として

股関節内旋位で歩く癖があるために、
骨盤の寛骨臼の被りを
深くする現象が見られます。
と同時に膝はロッキング様に
ピンと膝を伸ばし切って歩きます。

その代償として骨盤を前傾させ、
大腿骨頭の被覆率を上げるために
それに伴い腰椎伸展位になるのです。

そのような動作をずっと続けると
深層外旋筋(深層外旋6筋)が
過緊張になりやすくなります。

過剰に内旋位にならないように
常に股関節の外旋筋が働いて
しまうのです。

これは腸腰筋という
大きな股関節の屈曲・外旋筋が
働かないために起こるのです。

特に梨状筋という大きな筋肉は
過緊張になりやすく、時として、
梨状筋症候群や坐骨神経痛を
引き起こします。

※画像はネットより拝借しています

サボリ筋である腸腰筋を促通した後では
梨状筋症候群は一気に症状を改善したり、
梨状筋部の圧痛が取り除くことができます。

つまり腸腰筋を促通し
この腰椎伸展アライメントを
修正しない限りは
痛みを取り除くことはできません。


関節可動域制限として股関節
屈曲・外旋・内転方向に、
非常に強い制限を起こします。

また腰椎伸展型の特徴としては
股関節伸展時に、腰椎伸展を伴う
ことが多々あります。

歩く際に蹴る動作を行えば行うほど
腰椎は伸展する方向へ働くのですが、

この動作は一見大きな歩幅により大きな
下肢の力を出力しているように見えます。

しかし肝心な殿筋の力は
ほとんど使わずに
腰部の筋肉を過剰に使用するため、
腰方形筋も過緊張になりやすいのです。

また腸腰筋と内側ハムストリングスは
同時に働くことが多いので、
腸腰筋が働かなければ、
必然的にハムストリングスの
使用頻度も減り筋力低下を起こします。

内側ハムストリングスの大きな働きは
かかとが接地するときに適度に膝を曲げ
緩衝動作を行うことです。

膝をロッキングして歩くのは内側ハムスト
リングスの筋力低下の所為なのです。

ほとんど膝を伸ばす筋肉も使わないので、
大腿直筋という筋肉も短縮しやすくなり、

さらにデュシャンヌ歩行を行うので
歩行時の踵を接地する際には腸腰筋ではなく、
大腿筋膜張筋を多く使用し
過緊張になりやすくなります。

※画像はネットより拝借しています

腰椎伸展型の変形性膝関節症において
最も改善すべきは、サボリ筋である
「腸腰筋」と「内側ハムストリングス」
の筋力を改善する必要があるのです。


2:腰椎後弯・フラット型の変形性膝関節症の特徴

■ 筋力低下を起こす筋(サボリ筋)
 = 多裂筋、内転筋、(中殿筋)
■ 過緊張を起こす筋 (ガンバリ筋)
 = 腸腰筋、内側ハムストリングス、
   恥骨筋、外側広筋、深層外旋筋
   強い伸展制限、開排制限

割合としては腰椎伸展型よりも
腰椎後弯・フラット型の患者さんの
方が割合は多いです。

腰が平たんになる、
または、後弯する理由は
多裂筋の筋力低下です。

※画像はネットより拝借しています

多裂筋が筋力低下を起こすと
腰椎が後弯し、股関節は外旋位に
なりやすくなります。


男性ではがに股で歩く人が
これにあたります。
がに股で歩けば
トレンデレンブルク歩行といって
骨盤を固定することができず、
それに伴い内転筋も
筋力低下を起こします。

※画像はネットより拝借しています

多裂筋と内転筋は同時に働くのです。
さらに内転筋が筋力低下を起こすと
踵を接地する際に膝を曲げたまま
歩く傾向になります。

多裂筋が働いていないので
腹筋優位の動作が多くなっていきます。
たとえば高齢者であれば、
起居動作を正面から
起き上がったりします。
寝たきりになって筋力が弱ると
寝返りができなくなりやすいのです。

腹筋優位なので、
股関節が屈曲位になりやすく
強い股関節伸展制限と、
腸腰筋の過緊張が生じます。

さらに内転筋も働いていないので、
外側の支持機構に頼り
外側広筋がパンパンに
過緊張になるのです。

こんな状態で
腸腰筋のストレッチを行ったり、
外側広筋のマッサージをしても
全く意味を成しません。

腰椎後弯・フラット型の変形性膝関節症では
多裂筋と内転筋の筋力低下を改善することで
骨盤アライメントが改善し、

過緊張になっている筋が
リラクゼーションを得られるのです。

これまで二つのパターンをお話ししましたが、

重要であるのは
股関節の大きな筋力を使う殿筋は
腸腰筋や多裂筋により
骨盤の固定が行われないと
働けないということです。

いくらスポーツ選手に
殿筋のトレーニングを行わせても
競技中に使えないのはこの所為です。

そして

膝を痛める人の9割以上は
筋力低下を起こしています。
その根本となる原因筋が

「腸腰筋」・「内側ハムストリングス」

「多裂筋」・「内転筋」

であるのです。
本日は以上です。
参考にしていただけましたら幸いです。
笹川大瑛

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笹川大瑛

笹川大瑛(ささかわひろひで)

剣道六段。スポーツを科学で上達できないのか模索し続けて、現在も理学療法士として姿勢や運動の研究をしている。自分で関節の痛みを改善できる「関トレ」を出版。人の動きを根本的に変えていくことを得意としており、関節の痛みだけではなく、トップアスリートのパフォーマンス向上にも貢献している。

また、施術法としての「JTAフラッシュリプロ療法」を考案し、理学療法士などのリハビリ職種だけではなく、柔道整復師、鍼灸師、整体師、これから整体師になりたい人向けに誰でも関節の痛みを改善させられる技術を教えている。過去の教え子は、国内では北海道から沖縄まで、また、イタリアやオーストラリアなど海外も含めて500名以上。

・JTAを習得して半年後にはプロ野球選手と契約
・週3日夕方からだけの営業で月商200万円以上
・学生にも関わらず施術の予約がやまず、学校に行きながらも空き時間だけで月商50万円以上
・人口の少ない山の中の田舎整体院にもかかわず、2ヶ月先まで予約でいっぱいに。
・素人の主婦や美容師でも圧倒的な自信を持つ施術を身につけ、プロ治療院でも治せない不調に対応。

などなど、施術スキルを誰でも向上させることを得意としている。

「関節の痛みのない世の中を実現する」

というビジョンを掲げ、施術家コミュニティを運営し「本当に改善できる技術者」の育成に尽力している。

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