一つ間違うと再断裂するACL
こんにちは!日本身体運動科学研究所 代表の笹川です。
膝のスポーツ障害で最も厄介なのは
前十字靭帯(ACL)断裂というお話をしました。
選手の今シーズンが
水の泡になってしまうからです。
リハビリ期間が長い!ということと、
再断裂のリスクがあるため慎重に
リハビリを進めていかなければいけません。
今日は手術したACLが
再断裂しないようにリハビリして
もらう手順についてお話します。
コレを知っていれば
怖がらずに治療することができ、
『あなたが賠償責任を負わされる』という
リスクも防ぐことができます。
まずは術式です。
ACLを再建する場合、
半腱様筋腱か、膝蓋靭帯を用いて再建します。
腱組織と靭帯組織は強度が違います。
腱 < 靭帯
の方が強いので、膝蓋靭帯で
ACLを再建すると、再断裂するリスクが
低くなります。
なので、
断裂の心配をしながら
リハビリをするということも
少ないのですが、
実は半腱様筋腱を用いて
手術するほうが圧倒的に多いです。
膝蓋靭帯での再建(BTB:bone-patellar tendon-bone)
半腱様筋腱での再建(ST:Semitendinosus)
でBTB、STで省略されます。
BTBは膝蓋骨(膝のお皿)も
取って再建するのが特徴であり、
メリット
・非常に固定性が高い(再断裂しにくい)
デメリット
・痛みが強く残りやすい
・大腿四頭筋の筋力低下
・膝の伸展制限が残りやすい
と言われています。
なので、実際にはSTを用いて
手術することが多いのです。
STでの再建手術では
メリット
・傷口が小さいので痛みが出にくい
デメリット
・再断裂のリスクがある(ゆるみやすい)
・深屈曲でのハムストリングスの筋力低下
という特徴があります。
ちょっと専門的な用語が
多くて大変だと思いますが(笑)
要は
手術後のリハビリを実施する場合は
術式を確認してください!!ということです。
再断裂のリスクや、
再建した部位がゆるみやすいと
いうこともあり、BTBとSTでは
「○ヶ月後どこまで屈伸しても良い」
というのが
手術した病院の主治医によって
変わります。
病院によってプロトコル(進め方)が
違いますので、かならず患者さんに
確認してください。
もし、これを確認せずに
治療して事故(再断裂)を起こした場合、
完全に施術者の責任となってしまいます。。。
動かしてもよい角度であれば、
その範囲で可動域訓練、ストレッチが可能です。
筋力増強するなら
許可された可動範囲内で非荷重下(OKC)の
運動ならおこなってもOKです。
※OKCは地面に足をつけずに
トレーニングさせること
(四肢の末端が固定されていると
自重により強い負荷がかかるため)
手術した病院の主治医や理学療法士が
・フロントランジはOK
・サイドランジはOK
・ジョギングはOK
・ダッシュはOK
というように
徐々にできる動きが増えて
いきますので、それに合わせて
可動域拡大 + 筋力増強 + 荷重訓練(スクワット、ランジなど)
を大きくしていけば良いです。
※ランジ動作とは片足での
踏み込み動作のこと
こういったリスクを守りながら
施術やリハビリをすれば事故が
起きることは稀です。
私が最も問題だと感じるのは
筋力増強やストレッチ、可動域訓練が
上手くいっていないケースが非常に
多いということです。
簡単にいえば
施術者の技術不足ということになります。
可動域が戻らない、
筋力が戻らない、
だから、競技復帰が遅れていくので。
今回は長かったのでまとめると
・BTBとSTではSTの方が術式が多い
(再断裂リスクを伴う)
・手術した病院のプロトコルを確認する
(特に可動範囲、やってよい動作)
・段階的に可動域訓練、筋力増強をおこなう
(OKC → CKC=スクワット、ランジ動作)
こんな感じです。
ある程度、慢性疼痛疾患など
改善させられないと
「これって改善しているのか??」
分からなくなるのが
手術後のリハビリの特徴です。
炎症がひどくて可動域も筋力も
改善しにくいからですね。
次回ではどのように
可動域や筋力を上げていくべきかを
解説したいと思います^_^
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