ブログ
Blog

一つ間違うと再断裂するACL

2020年5月29日 magazine
執筆者:笹川大瑛

こんにちは!日本身体運動科学研究所 代表の笹川です。

膝のスポーツ障害で最も厄介なのは
前十字靭帯(ACL)断裂というお話をしました。

選手の今シーズンが
水の泡になってしまうからです。

リハビリ期間が長い!ということと、
再断裂のリスクがあるため慎重に
リハビリを進めていかなければいけません。

今日は手術したACLが
再断裂しないようにリハビリして
もらう手順についてお話します。

コレを知っていれば
怖がらずに治療することができ、

『あなたが賠償責任を負わされる』という
リスクも防ぐことができます。

まずは術式です。

ACLを再建する場合、
半腱様筋腱か、膝蓋靭帯を用いて再建します。

腱組織と靭帯組織は強度が違います。

腱 < 靭帯

の方が強いので、膝蓋靭帯で
ACLを再建すると、再断裂するリスクが
低くなります。

なので、
断裂の心配をしながら
リハビリをするということも
少ないのですが、

実は半腱様筋腱を用いて
手術するほうが圧倒的に多いです。

膝蓋靭帯での再建(BTB:bone-patellar tendon-bone)
半腱様筋腱での再建(ST:Semitendinosus)

でBTB、STで省略されます。

BTBは膝蓋骨(膝のお皿)も
取って再建するのが特徴であり、

メリット
・非常に固定性が高い(再断裂しにくい)

デメリット
・痛みが強く残りやすい
・大腿四頭筋の筋力低下
・膝の伸展制限が残りやすい

と言われています。

なので、実際にはSTを用いて
手術することが多いのです。

STでの再建手術では

メリット
・傷口が小さいので痛みが出にくい

デメリット
・再断裂のリスクがある(ゆるみやすい)
・深屈曲でのハムストリングスの筋力低下

という特徴があります。

ちょっと専門的な用語が
多くて大変だと思いますが(笑)

要は

手術後のリハビリを実施する場合は
術式を確認してください!!ということです。

再断裂のリスクや、
再建した部位がゆるみやすいと
いうこともあり、BTBとSTでは

「○ヶ月後どこまで屈伸しても良い」

というのが
手術した病院の主治医によって
変わります。

病院によってプロトコル(進め方)が
違いますので、かならず患者さんに
確認してください。

もし、これを確認せずに
治療して事故(再断裂)を起こした場合、
完全に施術者の責任となってしまいます。。。

動かしてもよい角度であれば、
その範囲で可動域訓練、ストレッチが可能です。

筋力増強するなら

許可された可動範囲内で非荷重下(OKC)の
運動ならおこなってもOKです。

※OKCは地面に足をつけずに
 トレーニングさせること
(四肢の末端が固定されていると
 自重により強い負荷がかかるため)

手術した病院の主治医や理学療法士が

・フロントランジはOK
・サイドランジはOK
・ジョギングはOK
・ダッシュはOK

というように
徐々にできる動きが増えて
いきますので、それに合わせて

可動域拡大 + 筋力増強 + 荷重訓練(スクワット、ランジなど)

を大きくしていけば良いです。
※ランジ動作とは片足での
 踏み込み動作のこと

こういったリスクを守りながら
施術やリハビリをすれば事故が
起きることは稀です。

私が最も問題だと感じるのは

筋力増強やストレッチ、可動域訓練が
上手くいっていないケースが非常に
多いということです。

簡単にいえば
施術者の技術不足ということになります。

可動域が戻らない、
筋力が戻らない、

だから、競技復帰が遅れていくので。

今回は長かったのでまとめると

・BTBとSTではSTの方が術式が多い
 (再断裂リスクを伴う)

・手術した病院のプロトコルを確認する
 (特に可動範囲、やってよい動作)

・段階的に可動域訓練、筋力増強をおこなう
 (OKC → CKC=スクワット、ランジ動作)

こんな感じです。

ある程度、慢性疼痛疾患など
改善させられないと

「これって改善しているのか??」

分からなくなるのが
手術後のリハビリの特徴です。

炎症がひどくて可動域も筋力も
改善しにくいからですね。

次回ではどのように
可動域や筋力を上げていくべきかを
解説したいと思います^_^

【JTAメルマガの登録はコチラ】

最新のJTA情報を配信しています。

笹川大瑛

笹川大瑛(ささかわひろひで)

剣道六段。スポーツを科学で上達できないのか模索し続けて、現在も理学療法士として姿勢や運動の研究をしている。自分で関節の痛みを改善できる「関トレ」を出版。人の動きを根本的に変えていくことを得意としており、関節の痛みだけではなく、トップアスリートのパフォーマンス向上にも貢献している。

また、施術法としての「JTAフラッシュリプロ療法」を考案し、理学療法士などのリハビリ職種だけではなく、柔道整復師、鍼灸師、整体師、これから整体師になりたい人向けに誰でも関節の痛みを改善させられる技術を教えている。過去の教え子は、国内では北海道から沖縄まで、また、イタリアやオーストラリアなど海外も含めて500名以上。

・JTAを習得して半年後にはプロ野球選手と契約
・週3日夕方からだけの営業で月商200万円以上
・学生にも関わらず施術の予約がやまず、学校に行きながらも空き時間だけで月商50万円以上
・人口の少ない山の中の田舎整体院にもかかわず、2ヶ月先まで予約でいっぱいに。
・素人の主婦や美容師でも圧倒的な自信を持つ施術を身につけ、プロ治療院でも治せない不調に対応。

などなど、施術スキルを誰でも向上させることを得意としている。

「関節の痛みのない世の中を実現する」

というビジョンを掲げ、施術家コミュニティを運営し「本当に改善できる技術者」の育成に尽力している。

PAGETOP