腸腰筋が過緊張になると反り腰になる?
こんにちは!理学療法士の笹川です!
腸腰筋は重要であるがゆえに、
さまざまなご質問をいただきます。
その中で最も多いのが
「腸腰筋が過緊張になれば、反り腰になるのではないでしょうか」
というご質問です。
残念ながら
腸腰筋が過緊張になっている人は腰が丸くなります。
教科書通りのセオリーなら
腸腰筋が短縮すると
変形性股関節症末期の方に
見られるように腰が反っていきます。
ですが、実際に現場で検査していただきたいのですが
腸腰筋に圧痛が取れる患者さんほど、
腰は丸くなっている方が多くないでしょうか?
若い方ですと腰が丸くなるというより、
元々ある生理的前弯(腰椎はもともと
少し反っている)がフラットになって
いるのを見受けられます。
ここで注意していただきたいのは
“腸腰筋の過緊張と筋力低下は全く違うもの”
であるということです。
ほとんどの方はこれがごちゃ混ぜにしています。
先に答えからお話しすると
・腸腰筋の過緊張は腰がフラットまたは丸くなる
・腸腰筋の筋力低下は腰が反る
というのが事実です。
腸腰筋が弱くなると、
股関節を外旋させる(股関節を開く)力が
弱くなるので、股関節外旋制限が出てきます。
胡坐(あぐら)がかけない…という状態です。
この状態ですと
大腿直筋や大腿筋膜張筋という
骨盤を前傾させる筋が腸腰筋の
代わりに過緊張になります。
大腿筋膜張筋は骨盤前傾させるだけではなく
・股関節の外転筋、内旋筋
でもあるため、
歩く際の立脚時にデュシャンヌ徴候がでるわけです。
※デュシャンヌ徴候とは
股関節外転位で足を接地する動きであり、
体幹が接地側へ大きく揺れる動きになります
ですので、反り腰の人は腸腰筋の筋力強化ですぐに改善していきます。
続いて腸腰筋の過緊張についてです。
ここが最も施術家が悩んでいることでもあります。
なぜなら、
腸腰筋は過緊張になると筋出力低下を起こすからです。
単純に腸腰筋の筋力を測っても
筋力低下なのか、過緊張によって
上手く力が入らないのかが分からない、
ということです。
腸腰筋の過緊張を引き起こすのは
“多裂筋の筋力低下”であると以前にも
お話ししました。
多裂筋は腰を反る筋肉です。
これが弱くなると
腰椎の生理的前弯を
保持することができなくなってきます。
さらに、
腰椎を安定させようと
腰椎前面にある腸腰筋は過剰に働きだします。
立っている時も、座っている時も、歩いている時もです。
腸腰筋が働くと骨盤大腿リズムと呼ばれる作用が働きます。
その作用は
股関節を曲げると、腰も丸くなる
という作用です。多裂筋が弱い人は
常にこの作用が働いています。
多裂筋の筋力低下により、
腰を反ることが難しくなりますし、
さらに腸腰筋が過剰に働くことで
常に骨盤大腿リズムが働くわけです。
こういった方の特徴として
・ぎっくり腰で前屈が全くできなくなる
・座っているときに腰痛がひどくなる、足がしびれる
・トレンデレンブルク徴候が出る
という特徴があり、多裂筋の促通を
すればこれらの症状は一気に改善します。
※トレンデレンブルク徴候とは、
デュシャンヌ徴候が股関節外転位で
接地するのと反対で、股関節内転位で
足を接地する動きです。
簡単に言えばモンローウォークといって、
お尻をフリフリ動かすような歩き方になります。
ご高齢の方でしたら丸くなって
歩いている姿勢は一カ月もすれば
まっすぐに腰を伸ばせるようになります。
これまで教科書では
デュシャンヌ徴候もトレンデレンブルク徴候も
中殿筋の筋力低下と一言で終わっていました。
実際には、中殿筋の筋力強化を行っても改善しないことの方が多いのです。
まとめますと
・腸腰筋の筋力低下と過緊張は根本的に違う
・腸腰筋の過緊張では腰が丸くなり、
腸腰筋の筋力低下では腰は反る
ということです!!
今日の内容は少し難しい話でしたが
運動器疾患は、○○筋が原因だ!
というところまで、自分で
調べられるのでぜひ、上記のことを
調べながら施術してみてください^_^
腰痛や股関節痛を改善させるのって
ものすごくシンプルで簡単になります!!
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